光らない惑星をどうやってみつけているのか?
惑星は自ら輝かないため、遠い星系のハピタブルゾーンにある惑星を見つけ出すことは至難の業です。
一体どうやって探してるのか? というとこれには視線速度法(ドップラー分光法)という方法が使われます。
これは惑星の重力でわずかに主星の位置が移動する様子を捉えることで、惑星の存在を発見するという方法です。
しかし、この主星のズレはほんとうにわずかです。惑星どころか、人間の身長よりも短い距離しか動かない場合もあるのです。
2016年にプロキシマ・ケンタウリからプロキシマbの存在を発見した高精度視線速度系外惑星探査装置(HARPS)は、このズレを1メートルという小さい距離まで検出可能でした。
しかし、今回プロキシマbの情報を更新した新世代の視線速度法探査機ESPRESSOは、驚くべきことに30センチメートルまで検出して調べることができるのです。
これはこれまでの3倍の精度の観測が可能ということで、地球の10分の1の質量の惑星まで検出できます。
これによりプロキシマbの精密な情報を得ることができました。
さらに今回の観測では、プロキシマ・ケンタウリには、もう1つ別の惑星が存在する可能性も出てきました。
もし正しければ、それは地球の3分の1以下の質量をもつ惑星だといいます。これが確定すると、視線速度法で発見された最小の惑星ということになります。
研究者たちは、このESPRESSOの凄まじい観測精度に興奮しています。
なお、プロキシマ・ケンタウリは、アルファ・ケンタウリA,Bという2つの大きな恒星と非常に広大な三重連星系を作っています。
プロキシマ・ケンタウリは、このアルファ・ケンタウリA星の公転軌道を約50万年という周期で回っていて、約3万2千年後、アルファ・ケンタウリAより地球から見て向こう側へ移動してしまいます。
そのため、地球にもっとも近い恒星という称号は、3万2千年後アルファ・ケンタウリAへ返上することになってしまうそうです。
それまで人類が生存しているかがまず疑問ですが、もっとも地球に近い恒星である内に、人類にはプロキシマbに到達して欲しいですね。
この研究は、ジュネーブ大学(UNIGE)の研究者を含む国際的な科学者チームによって、天文学の学術雑誌『Astronomy & Astrophysics』に5月11日付けで掲載されています。
https://doi.org/10.1051/0004-6361/202037745