これまでの動物研究では、人に飼育されている個体ほど賢くなる「飼育効果」という仮説が立てられていました。
実際、人の環境にさらされたチンパンジーは、野生の個体よりも認知能力が向上したケースがあります。
しかし今回、オーストリア・ウィーン獣医学大学(University of Veterinary Medicine Vienna)の研究によると、飼育が必ずしも動物を賢くするとは限らないことが判明したようです。
飼育されたオウムと野生のオウムを比較した実験では、両者の認知機能に違いがないことが明らかになりました。
また本研究には、「イノベーション・アリーナ」という新しい実験方法が採用されています。
新たな実験装置「イノベーション・アリーナ」とは?
「イノベーション・アリーナ」は、同大学の研究チームが新たに作成した、動物の認知能力をテストするための実験装置です。
半円形上に20の小部屋(アリーナ)が並べられており、それぞれに解決法の異なるタスクが設置されています。
そのタスクを解くことができたら、報酬としてエサがゲットできる仕組みです。
各タスクの解決法は、例えば、レバーを動かす、ボタンを押す、ホイールを回転させる、ワイヤを曲げるといったものです。
実験では、「シロビタイムジオウム」というインドネシア原産のオウムに協力してもらいました。