認知能力に違いはないが、ただし…
研究チームは、飼育されている人馴れしたグループと一時的に捕獲されている野生のグループとで、認知機能を比較しました。前者はウィーンのラボ内で、後者は生息地のインドネシアで実験されています。
テスト開始後、似たような実験に慣れている飼育グループは、すぐタスクに取り組んだ一方、野生グループは少し戸惑う様子を見せました。それでも、いったん慣れてしまうと、スムーズにタスクに取り組んでいます。
そして、制限時間内のタスク成功率を比べたところ、両者の認知能力に違いはなく、野生のオウムも飼育されたオウムと同等の賢さを見せました。
その一方で、大きな違いもありました。「タスクへの関心の高さ」です。
飼育グループ11羽の内、10羽が積極的にタスクに取り組んだのに対し、野生グループ8羽の内、やる気があったのはわずか3羽でした。
やる気のあるオウムでは、飼育でも野生でも認知能力や積極性に違いはなかったのですが、やる気のないオウムたちは、アリーナに近づこうともせず、エサにも興味を示さなかったのです。
これは、飼育されたオウムが実験装置の何たるかを知っていて、野生のオウムは知らなかったことも関係しているでしょう。
あるいは、人による飼育が高めるのは、動物の認知能力ではなく、やる気なのかもしれません。
研究の詳細は、5月26日付けで「Scientific Reports」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41598-020-65223-6