プログラム脳の場所をMRI画像の引き算でみつけだす
プログラム時にだけ働く脳領域を調べるために研究者が考案した方法は「引き算」でした。
具体的には、MRIにプログラマーが入り、プログラムを理解する作業と、日常的な雑多な業務の2種類の作業を行ってもらったとのこと。
もしプログラム時にだけ活動する「プログラム脳」があるならば、プログラム理解時に活性化した部分から、日常業務時に活性化していた部分を引き算で取り除くことで、場所が判明するからです。
結果、上の図のように、左脳のいくつかの場所が浮き上がりました。
ですがこれらの場所は数学的や論理的思考が行われる場所ではなく、主に会話時において音声理解を担当する場所だったのです。
プログラミング全体において言語機能が重要であることは最新の研究でも示唆されている他、有名なオランダのコンピューター科学者であるダイクストラによって1980年代から示唆されていました。
しかしプログラム時に特異的に働くコア機能が、音声理解であったという事実は研究者たちにも予想外だったようです。
また当然ながら、実験は外部からの干渉を極力排して行われているので、プログラマーの脳が聞いていた声は、プログラマーの内部から発せられたものになります。
有名な小説家の多くが「自分は脳内のキャラの会話を書き写す書記に過ぎない」と語っているそうです。
もしかしたら小説家の「キャラが勝手に動き出す」現象に似た何かが、プログラマーの内部で仕事の遂行を後押ししているのかもしれません。