眼球スキャンで「生物学的年齢」が分かる
ボストン大学の研究者たちは、人の正確な「生物学的年齢」を測るために、体内に存在する「長寿命タンパク質」に注目しました。
これら長寿命タンパク質は、再生しない器官(骨格筋、心臓、脳)、細胞外マトリックス結合組織(腱、軟骨)および眼球の水晶体に含まれます。

そして、これらのうち水晶体だけが光学的なスキャンで読み取れるタンパク質を含んでいます。
さらに、水晶体は胎児期に発現するものであり、生涯を通じて分子の変化を蓄積し続けていきます。
そのため眼球の水晶体は、タンパク質の老化を定量的に評価するのに理想的な組織だと言えるのです。

ゴールドスタイン氏らが開発した「眼球スキャナー」は水晶体のタンパク質の老化を測定でき、これに基づいて生物学的年齢を算出できます。
彼によると、新しい方法は以前の遺伝的手法よりも「非常に優れた精度を持ち、より簡単な方法で実施できる」とのこと。
将来的には、医師が患者の網膜をスキャンするだけで生物学的年齢を特定できるようになるかもしれません。
簡単・迅速・安全な生物学的年齢の測定は、数字だけの「年齢」に惑わされること無く、より個々に合った医療の提供に繋がるでしょう。
今後研究チームは、眼球スキャンの大規模な臨床試験の実施とさらなるデバイス検証を計画しています。
この研究は6月9日、「Journal of Gerontology:Biological Sciences」に掲載されました。
https://academic.oup.com/biomedgerontology/advance-article/doi/10.1093/gerona/glaa121/5854956
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