宿主の正体は?

そこで研究チームは、現生する259種の爬虫類を調べ、成体と卵のサイズ比に関するデータを集めました。
結果、この巨大卵を産んだ生物は、尾を除外して、全長6〜7メートルに達すると予測されています。
また、生息年代・サイズ・海洋性という点を踏まえると、卵の宿主として「モササウルス」の可能性が浮上しました。モササウルスは、約7000〜6600万年前の白亜紀後期に生きた大型の水棲恐竜です。
実際、卵が見つかった岩盤付近で、モササウルスの子どもと大人の骨格の一部が見つかっています。
レジェンドル氏は「当時の南極近海は、産卵や子育ての場所として適当な環境が整っていたのかもしれない」と指摘しました。

一方で、疑問点もいくつかあります。
第一に、大型の海洋生物は、基本的に産卵性ではないということです。現生のイルカやクジラ、それからサメの一部は卵ではなく、胎生で子どもを産みます。
第二に、産卵の方法が不明な点です。
これについては2つの仮説が挙げられており、1つは、ウミヘビのように海の中で直接卵を産み落とすというもの。もう1つは、ウミガメのように浜辺で産卵し、生まれた子どもが海に帰っていくというものです。
しかし、これほどの生物が地上で産卵するには体重が重すぎるため、海の中で産んだ可能性が高いでしょう。
今回の発見は、太古の大型海洋生物に関する定説を刷新し、新たな知見をもたらす鍵となるかもしれません。
研究の詳細は、6月17日付けで「Nature」に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2377-7
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