味覚の好みはとても変異しやすい
生活環境の変化に適応する際に、最もコストがかからない方法は、味覚を変化させることです。
味覚の変化により、動物は環境に適合した食べ物を好むようになり、生存能力の底上げが可能になるからです。
これまでの研究により、人間の味覚もまた非常に変化しやすく、遺伝子内部の僅か1塩基の差(一塩基多型)によって変化することが知られています。
しかし一塩基多型は地域による違いが大きく、国外の味覚の研究結果が日本人にあてはまるとは限りません。
そこで東京大学の研究者は、日本人12000人を対象に甘味の好みを決定している領域を探すことにしました。
甘味に対する嗜好性の強さは糖尿病や肥満をはじめとした生活習慣病を引き起こす恐れがあり、日本人特有の甘味メカニズムを解明できれば、日本人に合った予防や治療法が開発できる可能性があるからです。