複雑な毒の混合物
研究者たちは、中国大連の沿岸でエチゼンクラゲを捕獲し、新鮮な毒の触手を集めました。
そして、そこから毒タンパク質を抽出し、クロマトグラフィーを使用して成分ごとに分離しました。
すると、エチゼンクラゲの毒液は200以上にも及ぶ非常に複雑な成分の混合物であることがわかったのです。
研究者は抽出したタンパク質を異なるグループに分離して、マウスに注射し、毒の効果を確認しました。
結果、これらの毒は、細胞膜のイオンチャンネルを標的にしたものから、血液を固める作用を持つものなど13種類の毒素グループが明らかになったのです。
それはヘビやクモ、ハチに見られる有毒な酵素やタンパク質に似ていました。
これらの及ぼす体への影響は、心臓血管のうっ血や、血管の変性、肝臓の細胞死、腎臓や肺の炎症など多岐にわたります。
毒により死亡したマウスを分析したところ、肺の損傷と浮腫が可能性の高い死因であるとわかりました。
これはヒトのショック症状の報告と一致した結果です。
しかし、これら個々の毒素が実際どの様に動物を殺すのか確かめることは難しいようです。
体の異なる臓器を標的にした複数の毒素が協調して、同時に作用することが死を引き起こしている可能性が高いというのが研究者たちの見解です。
異様な姿に未知の恐怖を感じてしまうエチゼンクラゲですが、その毒素もなんとも異様なものであるようです。