周りに人がたくさんいても私は1人
今回の研究者の1人、Meyer氏は結果を次のように説明しています。
「私たちの脳内には、自分のことを考えると輝き出す星座のようなものがあります。そして、友人や親族など、親しい人について考えると、同じ星座が輝き出すのです。
しかし、孤独な人は自分のことを考えるときと他人のことを考えるときでは、まったく異なる星座がアクティブになります。
それはまるで、自分と他人が切り離されているかのようです」
孤独を感じる多くの人が、「大勢の人の中にいても、自分は1人なんだ」という感覚を口にしますが、今回の結果は、そうした発言の意味について説明することができそうです。
この研究は、被検対象がまだ少数で、脳活動の自己と他者のギャップがどの様に起こるのかというメカニズムについては、明らかにできていません。
つまり今回の結果が、孤独の感情から生じるものなのか、それともこうした脳活動の結果として孤独感が生じているのかは、明確ではなく、それは今後の研究で明らかにしていく課題になります。
社会との関わりが減るほど、他人と自分を分けて考えるようになり、孤独を感じてしまう、という流れが人間の脳にはあるようです。
社会から孤立した孤独な人ほど、身勝手な行動が増えてしまうというのも、この辺りが原因なのでしょう。
こうした研究が進めば、孤独を科学的に解消することもできるようになるかもしれません。
コロナウィルスによって社会的な距離を取ることが求められる時代、こうした研究の発展も重要になってくるでしょう。
この研究は、米国スタンフォード大学及びダートマス大学の研究者Courtney氏とMeyer氏の連名で発表され、論文は神経科学に関する査読付き学術雑誌『Journal of Neuroscience』に6月15日付で掲載されています。
https://www.jneurosci.org/content/early/2020/06/15/JNEUROSCI.2826-19.2020
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