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初期の宇宙に、現状の理論では説明できない「巨大クエーサー」が見つかる。 太陽15億個と同じ質量!?

2020.06.26 Friday

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初期宇宙に見つかった巨大クエーサー「Pōniuā’ena」のイメージ。/Credit:International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld.
point
  • ビッグバンから7億年という初期宇宙で太陽質量の15億倍というクエーサーが発見された
  • 宇宙誕生からこれだけ短期間で、この質量のクエーサー誕生は現状では説明できない
  • ブラックホールの成長進化は、現状の理解では足りていないことが示唆される

中心ブラックホールが太陽15億個の質量を持つ、初期宇宙から発見された中では、これまで最大規模のクエーサーが発見されました

クエーサーは宇宙でもっとも明るく高エネルギーの天体で、クエーサーが宇宙史においていつ出現したかは、天文学者たちが強く関心を向ける問題の1つです。

新しいクエーサーは、ハワイのマウナケア山の望遠鏡から発見されたことを記念して、ハワイ先住民の名前からとった「Pōniuāʻena:ポニウアーナ(発音:POH-knee-ew-aah-EH-na)」と名付けられました。

これはビッグバンから始まる宇宙史、特に再イオン化時代を理解する上で重要な発見になるようです。

理論上存在するはずない巨大クエーサー

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クエーサーの概略。/Credit:natureasia

現在の理論では、クエーサーは超巨大なブラックホールを動力源として活動しています。

ブラックホールがチリやガスを吸い上げると、膨大なエネルギーを放出し、銀河全体を凌駕する明るさを放つのです。

これがクエーサーの正体ですが、そのためには、非常に巨大な質量のブラックホールが必要になります。

ブラックホールは物質を吸い込みながら徐々に成長・進化していきます。これまでも太陽の400億倍などと表現される巨大なクエーサーは発見されています。

「Pōniuāʻena」の質量は太陽のおよそ15億倍であり、これまで発見報告のあるクエーサーと比べて別段巨大という印象はありません。

問題は、このクエーサーが見つかった場所にあります。

「Pōniuāʻena」は地球から約130億2000万光年という距離に発見されました。これはビッグバンから約7億年後の宇宙に存在していたことを意味しています。

これは現在知られている中で2番目に遠いクエーサーであり、同年代に見つかったものとしては最大規模のクエーサーです。(最遠のクエーサーはこれより200万光年遠いが、初期宇宙ではほぼ誤差の範囲)

今回の研究の筆頭著者、アリゾナ大学スチュワード天文台のJinyi Yang氏は「これは私たちが知るクエーサーの中で、もっとも初期の怪物だ」と述べています。

ビッグバンから7億年という短期間で、単一の星の崩壊から形成されたブラックホールが、このレベルまで進化するというのは、現状の宇宙論モデルでは説明できません。

こうした天体が初期宇宙に見つかるという事実は、私たちがブラックホールの成長速度を見誤っていた可能性を示唆しているのです。

研究者たちは、このクエーサーがビッグバンの1億年後という早い段階で、すでに太陽1万個に相当する質量の種ブラックホールからスタートしなければならなかったと考えています。

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ビッグバン1億年後に誕生した種ブラックホール(左)。ビッグバンから7億年後に太陽質量10億個以上に成長したクエーサー「Pōniuā’ena」(右)。/Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld.

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