ベテルギウス減光の真相
では、一体なぜベテルギウスは減光したのでしょう?
現在の天文学では、星の明るさは星の直径と表面温度に依存していることがわかっています。
星が小さければ、あらゆる波長で光度は減少します。しかし、表面温度の変化では、放射される波長によって異なる変化が現れます。
研究チームが可視光とサブミリ波から測定した暗さは、ベテルギウスの平均表面温度が約200℃低下している証拠だとわかりました。
2019年12月に撮影されたベテルギウスの画像からは、星にさまざまな明るさの領域があることが示されています。
研究チームの結果と合わせて考えた場合、これはベテルギウス表面の50%~70%を覆う低温の斑点が存在する兆候だと考えられます。
巨大な星に低温領域の斑点ができることは、太陽の黒点含めごく一般的なことです。ただ、ベテルギウスに見られるようなスケールの斑点は前例がありません。
こうした斑点の量は、11年周期で増減することが太陽の観測からわかっています。
しかし、この法則がベテルギウスに当てはまるかはわかりません。ベテルギウスの巨大な斑点がどの程度継続するものなのかは、今後観測を続けていく中で明らかにされるでしょう。
なんにせよ、ベテルギウス減光の原因は差し迫った超新星の影響ではなく、塵に覆われたためでもなく、表面を大きく覆う黒点のような斑点が原因だったようです。
前例のない巨大な斑点が、何を意味しているのかは、今の所わかってはいません。
この研究は、ドイツのマックス・プランク天文学研究所の研究者Thavisha Dharmawardena氏率いる国際天文チームにより発表され、論文は天文学の学術雑誌『The Astrophysical Journal Letters』に6月29日付けで掲載されています。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab9ca6
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