G4ウイルスは2016年に現れた新型であった
21世紀になってから、インフルエンザはたびたびパンデミックを起こしています。
特に2001年のパンデミックでは6億人の感染者が発生しました。
そのため研究チームはウイルスの発生源として疑われている豚から、2011年から2018年の間に3万個のサンプルを採取して分析を行っていました。
中国の養豚場や動物病院にいた豚からサンプリングが行われたのですが、これは中国に全世界で飼われている豚の半数が存在していると知られているからです。
その結果、179種類の豚インフルエンザの存在が確認され、そのうち165種がユーラシア鳥インフルエンザA(EA H1N1)型であることがわかりました。
これは、中国の豚集団で流行している主なウイルス型が、既知の鳥インフルエンザAであることを示します。
しかし2016年以降は様子が異なり、豚集団でG4ウイルス(G4 EA H1N1)と命名された新型のインフルエンザウイルスの発生が確認されたそうです。
研究チームはそのG4ウイルスが生き物にどのように影響するかを確かめるため、ウイルスをヒトの培養細胞とフェレットに感染させて経過を観察しました。
結果、G4ウイルスは2001年に6億人に感染したインフルエンザといくつかの共通する特徴があることがわかりました。
G4ウイルスは動物のSAα2,6Gal受容体に結合する能力を持ち、ヒトの気道上皮細胞で爆発的に増殖するだけでなく、フェレットどうしの間では高い伝染性(空気感染)が確認されたのです。
そのため研究チームは、養豚場の労働者300人に対してGウイルスの感染によって作られる抗体の有無を判定する検査を実施しました。
結果、養豚場労働者の10.4%が抗体を持っていることが分かりました。
また、現在G4ウイルスのヒトからヒトへの感染は確認されていませんが、養豚場の近隣に住む住民にも感染歴があったため警戒が必要です。