G4ウイルスを豚の内部に留めることが重要
研究チームは、豚間での感染が確認されているG4ウイルスを豚の外に出さないことが重要だと述べています。
現在のG4ウイルスは豚同士の感染が主流であり、ヒトに感染しても他のヒトに感染しない「行き止まり感染」の状態にあります。
しかし豚からヒトへの感染が継続的に続けば変異が起きて、ヒトからヒトへの感染能力をもったウイルスが誕生するかもしれません。
そしてG4ウイルスの感染力や伝染力の強さが引き継がれた場合、新たなパンデミックが発生する可能性があります。
よって、研究チームが提唱する予防法は、豚とヒトの接触を可能な限り制限するというものです。
養豚場の換気や労働者の防疫装備の着用義務化などがそれにあたります。
同時に豚から野生動物への感染も防がなければなりません。
豚から鳥などの野生動物に感染したウイルスが、再び豚の体で混合と再集合を起こしてしまった場合、変異が生じて新たな問題になる恐れがあるからです。
しかし、どちらも簡単には達成できません。
そのため、研究者は最終的には豚のインフルエンザを治療する豚専用のワクチンを開発する必要もあると述べています。
パンデミックを防ぐためには、まず豚を救うことが重要なのかもしれません。
研究内容は中国農業大学のホンレイ・サン氏らによってまとめられ、6月29日に学術雑誌「PNAS」に掲載されました。
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/23/1921186117
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