残りの13種も絶滅の危機に
研究を行った西オーストラリア大学のジェシカ・ミーウィグ教授は、今回の絶滅について、「過剰な漁業が主な原因」と指摘します。
ハンドフィッシュの生息地では、20世紀に入ってから1967年まで、大規模なホタテ漁が行われていました。その際の混獲(漁獲対象とは別の種が意図せず捕獲されること)が、ハンドフィッシュの減少を促進したというのです。
また、海洋汚染や土地開発による生息地の減少も原因のひとつです。
ミーウィグ教授は「海洋生物の絶滅を宣言するには海はあまりにも広すぎると主張する研究者もいます。しかし、漁業や石油・ガス採掘、海運、インフラ開発といった海洋産業は今や、陸上産業の規模に追いつき、海洋生物の絶滅を十分に招きうる」と述べています。
海洋・南極研究所のスチュアート・スミス氏は「ハンドフィッシュに関しては、生態的な役割がよく分かっておらず、彼らの絶滅が同地の生態系にどのような影響を及ぼすか分からない」と話します。
もしハンドフィッシュが重要なサイクルの一翼を担っていたとしたら、海洋生態系の歯車が狂うかもしれません。
さらに、残り13種のハンドフィッシュのうち、過去20年間で姿が確認されたのはわずか4種のみです。このままでは地球上からハンドフィッシュ自体がいなくなることもありえます。
今後の漁業や土地開発の見直しが、ハンドフィッシュ保護の鍵を握るでしょう。
また、絶滅したと思われた生物が再発見されることもあるので、どこかで生きていることを祈りたいですね。
最新の科学技術やおもしろ実験、不思議な生き物を通して、みなさんにワクワクする気持ちを感じてもらいたいと思っています。
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