- 終末世界映画のファンは、現実のパンデミックにうまく対処できる可能性が示された
- 調査の結果、終末映画ファンはパンデミック時の不足物資や、デマ情報などに事前の知識があった
- 精神的なストレスにおいて、その他の人たちと比べ緩和された状態にあることがわかった
映画の世界では、宇宙人の攻撃や小惑星の衝突、ウィルスによるパンデミックまで、終末世界をテーマにした作品を多く生み出しています。
これまで心理学者たちは、人々がこうした作品に惹かれる理由を説明しようと研究してきましたが、ほとんど成功していません。
新たな研究は、こうした終末映画の魅力について、実際災害が起きたときの準備をしている、という観点から分析を行っています。
この研究は、まだ論文誌への掲載などは行われていないプレプリントサーバー上だけで公開されている論文ですが、終末論映画が好きな人達にとっては、興味深い洞察を秘めています。
映画の好みとパンデミックへの対処能力
さすがにエイリアンやゾンビの襲来はないでしょうが、コロナウィルスの蔓延した世界を見て、あながち終末世界の映画もフィクションとは言えなくなったなあ、と感じている人は多いかもしれません。
マット・デイモン主演の2011年公開の映画「コンテイジョン」では、まるで今の状況を予見していたのではないか、と言われるくらい感染症の拡大で混乱する世界をうまく描いています。
実際この映画は、コロナウィルス蔓延後の数週間で、売上が急増しました。
そこで、今回の研究者であるシカゴ大学の心理学者Coltan Scrivner氏は、終末的な世界を描いた映画が、現実のパンデミックに対処する際に、どのように役立っているかを調べてみようと考えたのです。
Scrivner氏はインターネットで実験参加者を募り、オンライン上で調査を行うクラウドサービス「Prolific」を利用して、126人の参加者を集めて彼らの好きな映画ジャンルとコロナウィルスの騒ぎをどう感じているかなどを調査しました。
すると、明らかに終末世界の映画ファンたちは、パンデミックに対処する準備が整っているという結果が得られたのです。