- 超新星を途中でやめたような非常に奇妙な化学組成の白色矮星が発見された
- 非常に高速で銀河を移動していて、この星は超新星爆発の勢いで弾き飛ばされた
- この星が経験したのは、まだ発見されていない新しいタイプの超新星爆発と考えられる
2015年にある奇妙な白色矮星が発見されました。
それは通常の白色矮星と全く異なる化学組成をしていて、非常に軽く、高速で銀河を移動していました。
状況から見て、この星は連星系で起きた超新星爆発に弾かれて、銀河の反対に飛ばされたのだと考えられますが、しかし、この星を弾いた超新星はどうも普通の超新星爆発ではなかったようなのです。
研究者によると、それはまだ発見されていないタイプの部分的超新星爆発だった可能性があるようです。
未発見の超新星爆発とは一体なんなのでしょう?
組成が異常な白色矮星
今回観測された星「SDSS J1240 + 6710」通称Doxは、地球からは1430光年離れた位置にある白色矮星です。
Doxは2015年に発見され、ありふれた白色矮星に見えました。しかし、スペクトル分析の結果、その化学組成が非常に奇妙だと判明したのです。
Doxの最外層は99%が酸素であり、他には微量のネオン、マグネシウム、シリコンを含んでいたのです。
それの何が奇妙なのかというと、白色矮星の組成はほとんどが水素とヘリウムのはずだからです。
超新星爆発を起こすほど重くない、太陽質量の8倍以下の恒星は、晩年に核融合する材料が不足してくると膨張を始め、外層を宇宙空間へ放出しながらヘリウムの核と僅かな水素だけを残して予熱で光る死んだ星になります。
大量の酸素や、マグネシウムやシリコンなどの重い元素は持つはずがないのです。
さらに詳細に観測を行うと、Doxの外層にはナトリウムやアルミニウムが含まれることもわかりました。これらの元素はすべて、超新星爆発の最初の熱核反応で生成される元素です。
これはこの星が、なにか別の天体の超新星爆発に晒されたことを示しています。
しかし、不思議なことに超新星爆発の後半に生成されるはずの鉄、ニッケル、クロム、マンガンなどの元素は見当たらなかったのです。
まるでその天体は、途中まで超新星を起こして、そこでやめてしまったような奇妙な状態でした。