人類初の別星系撮影
ここに映されているのは、地球から約300光年の位置にある若い太陽のような恒星「TYC 8998-760-1」です。
矢印で示された2つの光が太陽を周回する2つの惑星で、どちらも木星のような巨大ガス惑星です。
それぞれの惑星と主星の距離は、160AU(天文単位:地球-太陽間を基準とした距離)と320AUで、私たちの太陽系にある木星、土星と比べて遥かに太陽から遠い位置です。(木星は5AU、土星は10AUしかありません)
また2つの惑星は太陽系の惑星より質量も巨大で、内側の惑星は木星の14倍、外側の惑星は6倍もあります。
主星はまだ誕生して1700万年しか経っておらず、星系進化の初期段階にあります。研究者はこの星を「私たちの太陽の非常に若いバージョンだ」と説明しています。
この撮影を実現させたのは、チリのアタカマ砂漠にある超大型望遠鏡VLTが搭載する観測装置「SPHERE(Spectro-Polarimetric High-contrast Exo-planet REsearch:分光偏光高コントラスト太陽系外惑星探査)」です。
これはコロナグラフという装置によって、主星の明るい光を遮ってずっと暗い惑星の光を捉えています。
こうした撮影ができたのは、今回の惑星がまだ非常に若いため、熱く赤外光で輝いているためです。
私たちの太陽系にある様なすでに冷えてしまった惑星は、この距離から同じ手法で直接観測することはできません。
しかし、今回の観測は太陽系のような他惑星星系がどの様に進化していくのか、私たちの太陽系の歴史を理解する上でも大きな影響を与える発見に繋がるだろうと、研究者は語っています。
私たちが天体観測で話題にするのは、主に中心で輝く主星ばかりですが、その周りには私たちの太陽系と同じ様に多くの惑星が回っているのだと思うと、なんだかとてもロマンを感じますね。
この研究は、オランダのライデン大学の研究者Alexander J. Bohn氏を筆頭とした国際研究チームより発表され、論文は天文学に関する科学誌『The Astrophysical Journal Letters』に7月22日付けで掲載されています。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/aba27e
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