- タツノオトシゴはオスが出産を担当する
- オスは「育児のう」という袋の中で、受精卵を保護し、成長させる
- 「育児のう」は、子供に栄養源を送る「胎盤」のような働きを持つことが判明
世の男性陣には、身重の奥さんの苦しみを目にし、「自分が代わってあげられたら…」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、現在のところ、生物の中でそれができるのは「タツノオトシゴ」だけです。
タツノオトシゴの繁殖形態はめずらしく、産卵はメスの仕事ですが、出産はオスが担当します。
オスの体内には「育児のう(brood pouch)」という袋があり、そこで卵を保護して稚魚を孵化させるのですが、育児のうについては、まだほとんどが謎に包まれています。
しかし今回、オーストラリアのシドニー大学、ラ・トローブ大学の最新研究により、育児のうの役割について新たな事実が発覚しました。
なんと父親となるオスは、出産を担当するだけでなく、育児のうで子供に栄養を与える「胎盤」のような働きもしていたのです。
オスが出産を担当!その仕組みは?
タツノオトシゴは、オスの求愛が成功すると、お腹辺りにある育児のうを開き、そこにメスが輸卵管を差し込んで、卵を移します。この時、同時に受精も行われます。
卵の移し替えは、休憩を挟みながら数時間繰り返され、最終的に40〜50個(種類によって数が異なる)がオスの育児のうに移されます。
最大1ヶ月間、袋の中で受精卵を保護し、その後、孵化した稚魚を育児のうの口からポンッポンッと産み出すのです。
出産の際、オスは陣痛を思わせるような痙攣を起こします。