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細菌は宇宙で抗生物質耐性を持った”危険な存在”になるかもしれない (2/3)

2020.07.30 Thursday

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宇宙に進出した細菌

こうした中で、細菌が微小重力に晒された場合何が起きるか、という宇宙実験が2013年に行われました。その結果、細菌が抗生物質に耐性を持つようになり、より致命的な存在になるということが示されているのです。

そして、この状態は地球へ戻った後も短期間維持されるといいます。

また、バクテリアなどは新しい環境に適応するため、地上よりも宇宙空間では速く変異していくという報告もあります。

さらに、宇宙の微小重力下では、細菌のバイオフィルム形成も促進されることが示されています。

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Credit:depositphotos

バイオフィルムというのは高密度に集まった細菌のコロニーのことで、これを形成した細菌は高分子物質の複雑なマトリックス状の構造になって、容易に除去できなくなります。

虫歯菌などもバイオフィルムを形成すると、もう歯ブラシやフロスでは除去できなり歯医者などで専用の道具を使って除去してもらわなければなりません。

そして、このバイオフィルムは抗生物質に対する細菌の耐性も高め、生存しやすくし、感染能力を拡大させます

ソビエト連邦が運用していたミール宇宙ステーションでは、窓やエアコン、酸素電解ブロック、水のリサイクルユニットから熱制御システムまで、このバイオフィルムが成長して付着していたのが確認されています。

これは長時間放置すると機器が機能不全に陥り、壊滅的な被害を受ける可能性があるとのこと。

また微小重力下では、特定の細菌は細胞サイズが減少し、細胞数は増加することが示されています。

この場合も、表面積が低下することで、抗生物質などの有効性が低下することになるでしょう。

さらに、沈降や浮力といった重力作用がなくなることで、細菌が栄養素や薬物を取り込む方法が変化し、薬剤耐性が上がったり、感染力が拡大するなどの恐れも発生します。

これが長距離宇宙飛行ミッションなどでは、深刻な問題になる可能性があるのです。有人火星探査も本格的に視野に入ってきた昨今、こうしたミッション中に、治療が難しい細菌感染が発生することは致命的な問題になりかねません

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