- 古代ゲノムの新たな解析から、一部のヒトが古代の未知の祖先のDNAを受け継いでいるとわかった
- 新たな研究では、未知の供給源のDNAセグメントを識別できる解析アルゴリズムを開発した
- この古代人類のDNAはネアンデルタール人やデニソワ人にも数%含まれていた
私たち人類の祖先には陽キャが多かったらしく、ネアンデルタール人やデニソワ人など異なる種族との間でも交配を行っていたことがDNAの解析から明らかになっています。
こうしたDNAの解析は、ネアンデルタール人やデニソワ人の骨などから行われます。
彼ら古代人のDNAと現代人のDNAを解析すると、現代人の中に数%ネアンデルタール人の遺伝子が残っていることがわかるのです。
しかし、新たな研究はさらに高度な解析方法を考案し、特定できていない未知の祖先の遺伝子がどの段階で混入したかということまで突き止めたのです。
遺伝子の解析からは、さまざまな種の交雑の歴史が読み解けるようになっているようです。
「遺伝子の流れを読む」驚きの研究
現代人ホモ・サピエンスはホモ属の最後に生き残った種です。
その遺伝子の中には、かつて交配経験を持ったことがある現代では滅んでしまった人類種の遺伝子がわずかながらに残っています。
いくつかの研究から、現代人のDNAをの中には、ネアンデルタール人やデニソワ人の遺伝子をたどることができると報告されています。
これは解析するべき遺伝子が手元にあったために実現した研究ですが、新たな研究はそれが未知の遺伝子であっても識別することが可能なのだといいます。
その新たな方法は、「組み換えイベント」と呼ばれるある個人のDNAの一部が別の個人の染色体に組み込まれたパターンを特定することができます。
たとえば、ネアンデルタール人が他の人類種と交配し、後にその子孫がホモ・サピエンスと交配した場合、その交雑がいつ起きたのか、ゲノムの位置から明らかにすることができるのです。
研究チームは、この方法によって、ネアンデルタール人、デニソワ人、現代人の遺伝子を解析した結果、入れ子になったDNAの切片から驚くべき事実を明らかにしました。
ネアンデルタール人には未知の古代人由来のDNAが3%組み込まれていることがわかり、その交雑は20万年前から30万年前に発生したと推定されるのです。
またデニソワ人のDNAの1%が、未知の古代人に由来していることもわかりました。
デニソワ人と未知の古代人の交配は約100万年も前に発生しており、タイムラインから考えると未知の古代人がホモ・エレクトスであった可能性が示唆されています。
残念ながらホモ・エレクトスのDNAは現存するサンプルが発見されていないため、これを証明する手立ては現時点ではありません。
この未知の古代人がどういった種であったにせよ、この交配による痕跡の約15%が現代に生きる人々の中に存在していることも確認されました。
私たちの中には、未知の古代人のDNAの痕跡も残っていたのです。