- 大西洋中央海嶺で発生した巨大地震は、進行方向を途中で変え逆伝播していたことが明らかになった
- 海底地震計と遠隔地の実体波データの統合的に解析された
- ブーメラン型の特異な破壊は、トランスフォーム断層に見られる新たな地震の姿
地震は恐ろしい災害ですが、通常、その振動は「去ったあとに戻ってくる」ということはありません。
しかし、世の中にはその振動がまるでブーメランのように帰ってくることがあるようです。
この前例のない珍しい地震は、大西洋海底で2016年に発生したもので、日本、イギリス、ドイツが参加した国際共同研究チームにより、その実体が世界で初めて明らかにされました。
帰ってくる地震とは、なんともお盆の時期にふさわしい研究ですね。
2016年のロマンシェ地震
今回研究対象とされたのは、2016年に大西洋の海底で発生したマグニチュード7.1のロマンシェ地震です。
この地震はブラジル東海岸とアフリカ西海岸のほぼ中間に位置する赤道付近のロマンシェ破砕帯という場所に沿って発生しました。
大西洋中央海嶺には、プレート同士が水平にズレたトランスフォーム断層があり、これが発達して地震を起こしています。
海嶺というのはマントルが地中からせり上がってきて新しいプレートが生まれている場所です。
このプレート発生の境界である海嶺が分断されて、横ずれを起こしてしまったものがトランスフォーム断層です。
海嶺からは新しいプレートが生まれて移動していますが、トランスフォーム断層が発生した場所だけ、このプレートの動きが互い違いになってしまいます。そのため、ここで地震が発生するのです。
トランスフォーム断層は内陸にある断層と比較すると形状が単純なため、断層の性質が自身に及ぼす影響の調査に重要な場所となっています。