巨大トカゲが「最後の晩餐」に
イクチオサウルスは、中生代の三畳紀(2億5000万〜2億年前頃)に生息した水棲生物で、イルカに近い見た目をしています。一方、捕食された生物は、同時期に生きた「タラトサウルス(Thalattosaur)」という大型の水棲トカゲです。
化石中に見つかったタラトサウルスの遺骸は、頭部と尻尾がなく胴体部分だけでしたが、そこから全長4メートル近くあったと推定されています。
つまり、このイクチオサウルスは、自分とほぼ同サイズの獲物を食べていたのです。
古生物学者のディーン・ロマックス教授(英・マンチェスター大学)は「体内に魚やイカの化石が見つかることさえ珍しいですが、これほど大きな生物が呑み込まれているのは前例がない」と指摘します。
ただ、トカゲの胴体が未消化であることやその後に捕食した痕跡がないことから、これが「最後の晩餐」になっていたようです。
食べたトカゲが重すぎて海底に沈んでしまったか、あるいは、欲張りすぎてうまく消化されず、死んでしまった可能性もあります。