「自発的に踊る液滴」の仕組み
映像にあるように、薄いシート上にある液滴は誰かが力を加えているわけでもないのに、左右に動き続けています。
そしてこれは非常にシンプルな仕組みで成り立っています。必要なものは「揮発性液滴」と「薄い膨潤性シート」だけです。
揮発性液滴とは蒸発しやすい性質の液滴であり、膨潤性シートとは液体を吸収して膨張するシートのことです。
実験では、膨潤性シートの上に揮発性液滴(アセトンやマニキュアの除光液)などが落とされました。
液滴がシート表面に触れると、液体の一部がシートに吸収されます。するとシートの一部が膨張するためシート上に傾斜ができ、液滴が流れていきます。
液滴が移動すると膨張した部分が空気にさらされるため、吸収された液体が蒸発し、シートは元の形状に戻ります。
そして液滴が移動した先でも同様のプロセスが発生するため、液滴は自発的に振動運動を繰り返すようになるのです。
「液滴をシート上に落とす」最初の行為や「蒸発」「膨張」「重力」の相互作用という非振動エネルギーが、液滴の継続的振動を作っているのですね。
ちなみに、この運動は「液体が乾燥するまで続く」とのこと。
チャクラバルティ氏は、「このタイプの自己生成モーションはこれまで検討されたことがないため、刺激的なアプリケーションに繋がる可能性があります」とも述べています。
このシステムの応用は小規模エンジン・発振器・ポンプの駆動に役立つかもしれず、今後の研究に期待できるでしょう。
この研究は6月25日、「PHYSICAL REVIEW LETTERS」に掲載されました。
Self-Excited Motions of Volatile Drops on Swellable Sheets
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.124.258002