遺伝子操作された蚊が個体数を減少させる
人間の脅威となる蚊の種類は、実はそれほど多くありません。そのため今回の個体数減少の対象となったのは「ネッタイマシカ」と呼ばれる種のみです。
この蚊は一般的にはヤブカとも呼ばれ、吸血の際に黄熱病やデング熱、チクングニア熱、ジカ熱などの感染症を引き起こします。
また感染の原因となる吸血はメスのみが行うものです。そのため「ネッタイシマカのメスの個体数」を減少させるなら、感染症に悩む人も減ると思われます。
この計画を実行するために用意されたのは、遺伝子操作されたネッタイシマカのオス7億5000万匹です。
彼らはメスの蚊と繁殖して子供を産みますが、生まれた子供のうちメスだけが死亡するようになっています。数週間にわたって遺伝子組み換えられた蚊を放出することで徐々にメスの個体数が減少していくのです。
実際、ブラジルを含む他の国で行われた複数年にわたるプログラムでは、1年ごとに80%以上の防除効果が得られているとのこと。
また、Oxitec社はこの方法が「環境にやさしい」ものであるとも主張しており、組み替えられた遺伝子は約5~10世代の後に、個体群から削除されます。