冷たいダークマターモデルとWIMP
宇宙全物質の83%(全エネルギーでみた場合26%)を占めると考えられている暗黒物質は、他の物質と電磁気的な相互作用を一切持ちません。
これは暗黒物質からは、なんの電磁波も検出できないことを意味しています。
可視光も電磁波の1種なので、つまり暗黒物質は見ることすらかなわない、そこにあったとしてもまったくわからない謎の物質なのです。
しかし、それがどういう性質の物質であるのかという点については、観測された宇宙の状態からいくつか有力な予想が示されています。
1つは「冷たいダークマターモデル」と呼ばれるものです。ここでいう冷たいとは運動量のことで、暗黒物質はあまり動き回らず人ところに固まって存在するだろうという考え方です。
そしてもう1つの主要な予想は、暗黒物質がWIMPと呼ばれる陽子の約100倍の質量を持つ弱い相互作用しか持たない巨大粒子である、というものです。
予想ではWIMPは反物質のような性質を持っていて、互いに衝突すると対消滅を起こしガンマ線を発生させると考えれています。
今回のシミュレーションは、この2つのモデルが事実だった場合、暗黒物質がどのように存在しているかを非常に高い分解能で30桁もの質量を含む仮想宇宙を使い検証したのです。