人の中の意識
人の中の意識 / Credit:depositphotos
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人は覚醒していても「意識のONとOFF」が繰り返されているかもしれない!?

2020.09.20 Sunday

「人の意識は継続的か?それとも離散的か?」という問いは、1500年にわたり脳神経科学者や心理学者、哲学者たちの間で議論されてきました。

この問いに関して、スイス・ローザンヌ工科大学の教授であるミヒャエル・ヘルツォーク氏ら研究チームは、9月3日付けで科学雑誌『Trends in Cognitive Sciences』に新しいモデルを提案しました。

ヘルツォーク氏によると、「無意識の情報処理は継続的であるが、意識は継続的ではない」とのこと。

medicalxpress https://medicalxpress.com/news/2020-09-consciousness-discrete.html , forbes https://www.forbes.com/sites/fernandezelizabeth/2020/09/06/is-consciousness-continuous-like-a-movie-or-discrete-like-a-flipbook/#43e6b53a3101

継続的な意識と離散的な意識とは?

「意識の継続性と離散性」とはどのような状態を指すのでしょうか?

意識の無い状態は非常に理解しやすいものです。簡単に言うと、それは寝ている時と同じです。人はその時間を知覚しておらず、記憶もありません。

では、起きているときは絶えず意識があるのでしょうか?多くの人は直感的に「そうだ」と考えます。

確かに「いきなり気を失う」とか「次の瞬間、5分も時間が進んでいた」なんてことは健康な人ではありえないので、意識は継続的だと考えるでしょう。

しかし、もっと細かい時間で区切るとどうでしょうか?

例えば0.01秒の間意識が無かったとしても、それに気付く人はいません。その0.01秒の無意識状態が断続的に起こっていたとしても同様でしょう。

脳のスイッチ
脳のスイッチ / Credit:depositphotos

つまり「意識が継続的である」とは、「意識が絶えずONの状態」を指し、「意識が離散的である」とは、「意識が長いONと短いOFFを繰り返している状態」を指します。

こうした考えはかなり昔から議論されてきました。特に昔は「意識は継続的」だと考える学者が多かったようですが、現代では「離散的かもしれない」という意見が多くみられます。

確かに、単調で同じ作業を100万回行なうとき、そのすべてを全く同じ意識下で行なうことはないように思えます。慣れがどこかで無意識を与えているかもしれません。

しかし「意識が離散的」というのも非常に怖いものです。避けられない無意識の時間が定期的に訪れているなら、事故は多発し、それが避けられないもののように思えるでしょう。

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