1ドル補聴器を作成するバンラ氏
1ドル補聴器を作成するバンラ氏 / Credit:Georgia Institute of Technology
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材料費約100円の「激安補聴器」が登場、従来品との違いはどこに?

2020.09.28 Monday

世界中の高齢者が難聴を経験していますが、補聴器は高価であり購入できない人も多いでしょう。

アメリカ・ジョージア工科大学生体分子工学部のサード・バンラ氏ら研究チームは、9月23日付けで学術誌『PLOS ONE』に、材料費1ドル(約105円)の補聴器を開発した発表

この超低コスト補聴器はいわゆる手作り可能な「DIY補聴器」であり、これまで高価な補聴器を入手できなかった人たちを助けるものとなるかもしれません。

interestingengineering https://interestingengineering.com/diy-hearing-aid-costs-1-to-build-ready-in-25-minutes

約100円のDIY補聴器「LoCHAid」

通常、補聴器は片耳10万円以上するものがほとんどであり、中には50万円以上するものもあります。

そのため高齢ゆえに聴力が衰えていても、補聴器を購入できない人は多いのです。特に発展途上国で生活する人々にはなかなか手の届かない代物でしょう。

しかし、研究チームが開発した補聴器「LoCHAid」は限定的な機能しか備えていないものの、大量生産時にはその材料費がたったの1ドルにまで抑えられています。

LoCHAidと装着例
LoCHAidと装着例 / Credit:Georgia Institute of Technology

研究チームは音の周波数増幅の範囲を狭めることによって、設計を簡素化することに成功。そのため対象者は加齢性難聴者のみになりますが、従来のものとは比べ物にならないほど安価な補聴器の作成が可能になったのです。

LoCHAidはマッチ箱サイズのデバイスであり、首からぶら下げるように装着します。デバイスのマイクから音を拾い、増幅した音声をイヤホンによって耳に届ける仕組みとなっているのです。

加齢性難聴の特徴は「高音が聞き取りにくくなる」というもの。そのためLoCHAidは低音を通常音量のまま、高音のみ音量が増すよう設計されています。

しかもLoCHAidはオープンソースなので、誰でもDIYすることが可能。自作する場合の材料費は20ドル(約2100円)未満であり、30分ほどで完成させられるでしょう。

ちなみにLoCHAidは1年半ほどで劣化するため、定期的な交換が必要かもしれません。

次ページ従来の補聴器と1ドル補聴器は何が違うの?

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