謎の勢力拡大
数々の優れた特性を持つハダカデバネズミは多くの生物学者の興味を引き、様々な研究が行われています。
ワシントン大学のブロード氏もその1人であり、ケニアのメル国立公園でハダカデバネズミの巣(コロニー)を観察していました。
すると、ある日、奇妙な事実に気が付きます。
以前は他のコロニーが占めていた巣穴に、自分たちの領域を拡大している26もの例を発見したからです。
あるコロニーが使用中の巣穴を無償で他のコロニーに簡単に受け渡すとは考えられません。
そこで研究者たちは一帯のコロニーに住むハダカデバネズミを捕獲し、個体識別タグをつけて巣に戻すという作業を繰り返し、数年に渡る長期の観察をはじめました。
結果、地下で勃発していた戦乱と略奪を目にすることになります。