ヒドラはサンゴやクラゲの仲間。脳が無いヒドラも眠ることが判明した。神経の睡眠システムは脳が誕生するより前から存在していたと考えられる
ヒドラはサンゴやクラゲの仲間。脳が無いヒドラも眠ることが判明した。神経の睡眠システムは脳が誕生するより前から存在していたと考えられる / Credit:Science Advances
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“脳が無い動物でも眠る”と判明! 睡眠の起源はどこにあるのか?

2020.10.16 Friday

脳が無い動物も眠るようです。

10月7日に『Science Advances』に掲載された論文によれば、クラゲやサンゴの仲間(棘皮動物)で中枢神経が存在しないヒドラのような原始的な動物でも「眠る」ことが確認できたのだとか。

これまで睡眠は脳のある生物だけでみられると考えられてきましたが、今回の発見によって常識がくつがえされることになります。

しかし、中枢神経に依存しない睡眠とは、いったいどんなものなのでしょうか?

九州大学 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/504

脳が無い生物にみられる謎の休憩時間

脳を持たない生物も眠るのだろうか?
脳を持たない生物も眠るのだろうか? / Credit:九州大学

睡眠はヒトをはじめとする哺乳類に限らず、魚類や昆虫など幅広い動物で確認されています。

しかしこれまでの研究において「眠る」ことが確認されてきたのはを持つ動物のみであり「睡眠と脳の存在は切り離せない関係にある」と考えられてきました。

事実、睡眠は脳の機能の維持にとって不可欠であることが示されており、睡眠の妨害が脳細胞を殺し、生物を死に至らしめることが多くの研究によって知られています。

一方で、近年の研究により、クラゲやサンゴ、ヒドラといった脳が存在せず、神経が体全体に均等に分布している原始的な動物でも、一定時間ごとに、まるで休憩をとるかのように、活動が停止することがわかってきました。

またこれら脳の無い動物は休憩時間に入ると、活動を停止させるだけでなく、刺激に対しても鈍感になるといった、まるで眠っているかのような状態に陥ります。

そこで日本の九州大学の研究者らは、進化的に脳を獲得していない動物でも、睡眠をとっている可能性があると考え、ヒドラを用いて検証を開始しました。

すると意外な事実が判明します。

次ページ脳が無い生物も「睡眠薬」で眠るだけでなく睡眠不足に陥る

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