子守唄によるリラクゼーション状態の測定実験
実験では、各乳児に子守唄と子守唄以外を歌っているキャラクターのアニメーションビデオを見せました。
乳児のリラクゼーション状態は、瞳孔の拡張、心拍数の変化、皮膚電気活動(皮膚の電気抵抗から覚醒や興奮の尺度を調査するもの)、まばたきの頻度、視線方向が記録され、そこから総合的に判断されました。
一般的にリラクゼーション状態は、心拍数の低下、瞳孔の拡張、皮膚電気活動が弱まるなどの反応を示します。
乳児の注意力は時間が限られており、だいたい5分程度しかもちません。理想的な実験では、子守唄を十数曲、子守唄以外を十数曲聞かせてそれぞれのデータを広く取りたいのですが、乳児の注意力は短いため、実験も短くデザインする必要がありました。
以下が実験で使用された楽曲のサンプルです。
スコットランドのハイランド地方の子守唄。
メキシコのセリ族のヒーリングソング。
実験に使われた楽曲は、音楽研究所の事前調査から選ばれました。
選択された曲は、スコットランドゲール語、ホピ語、西ナワトル語、ポリネシア、中央アメリカ、中東などの言語のものが含まれています。
結果、測定されたデータはいずれも子守唄を聞かせた場合に、乳児がリラックス状態にあることを示していました。
歌われている言語に馴染みがなく、知らない文化圏の音楽であっても、癒やしをテーマにした子守唄を聞かせた場合、乳児はリラックスすることができたのです。