新発見された臓器は第4の唾液腺だった
これまでの医学の積み重ねにより、人体には舌下・喉・耳の下側の3カ所に唾液腺が存在することが知られていました。
唾液は口内を滑らかにし、話しやすく、食べ物を飲み込みやすくします。
また食品に含まれる様々な化学物質を溶かし込んで、その食品に独特の風味や味わいを与える働きもあるんです。
ちなみに、唾液腺はがんの放射線療法に対して弱く、たった1回の放射線照射で、永久に働きを失ってしまう場合があることが知られていました。
そのため唾液腺の近くにがんの腫瘍ができた場合は、可能な限り精密な映像スキャンを行い、唾液腺を避けるように放射線治療を行うことが重要とされています。
そこでオランダがん研究所の研究者たちは「PSMA PET / CT」と呼ばれる最新のCTスキャンにより、患者の唾液腺の詳細な位置を調べることにしました。
すると、得られた画像には、これまで知られていた舌下・喉奥・耳の下側の3種類の唾液腺の他に、青い矢印で示された鼻腔と喉の接合部分に第4の唾液腺が写り込んでいたのです。
研究者たちは最初、この第4の唾液腺は偶然その患者が持っていたものだと考えました。
しかし、最新のCTスキャンを100人を超える患者で試してみたところ、第4の唾液腺はどの患者にも存在している、人類に普遍的な臓器であることが判明したのです。