火星のトロヤ群にある小惑星帯
太陽系には、他の惑星や太陽との重力的な影響が釣り合って、惑星が軌道運動しても常に位置関係が変化しないポイントというものがあります。
これをラグランジュ点と呼びます。
ガンダムなどでスペースコロニーの建設地にされるのも、地球と位置関係が変わらない地球のラグランジュ点です。
そして、火星の軌道上には太陽から見て火星の前後60度にあたる2点にラグランジュ点があります。これを火星のトロヤ群と呼びます。
火星のトロヤ群には小惑星が集まった小惑星帯が存在しています。こうした安定した領域には太陽系形成の初期から残る小惑星があり、太陽系の進化の歴史を知る上で興味深い発見をする場合があります。
今回の研究チームは、火星のトロヤ群を研究していて、そこから太陽系初期の歴史を探ろうとしていました。
どうせ観測するなら火星のトロヤ群じゃなくて、地球のトロヤ群でいいんじゃない? と思う人もいるかもしれませんが、地球のトロヤ群は常に太陽の近くに位置してしまうため眩しくて観測するのが困難です。そのため実は地球トロヤ群より火星トロヤ群の方が観測には適しているのです。