パルマー諸島のジェンツーペンギンの親子。
パルマー諸島のジェンツーペンギンの親子。 / Credit:en.wikipedia
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3種類も新種のペンギンが誕生! 科学者が1種類だと思っていたものが実は別々のペンギンだった (2/3)

2020.11.15 Sunday

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実は4種だったジェンツーペンギン

異なる生息地のジェンツーペンギン。非常に似ているが異なる種だった。
異なる生息地のジェンツーペンギン。非常に似ているが異なる種だった。 / Credit:Gemma Clucas,University of Bath

ジェンツーペンギンはアデリーペンギン属の中型のペンギンで、両目の上に白い独特の斑点を持つのが特徴です。サイズは50cmから90cmほどで、すべてのペンギンの中でもっとも泳ぐのが速いと言われています。

これまでの研究で、ジェンツーペンギンは生息する地域の違いなどから、サウスシェトランド諸島と南極半島に生息する「P. p. ellsworthi」とそれ以外の地域に生息する「P. p. papua」の2つの亜種に分類できるとされていました。

しかし、種としての分類学的な調査はまだ本格的に行われていませんでした。

ジェンツーペンギンの生息地域。灰色の領域は既知の生息地。色付き三角が今回調査されたコロニーを示す。
ジェンツーペンギンの生息地域。灰色の領域は既知の生息地。色付き三角が今回調査されたコロニーを示す。 / Credit:Joshua Tyler,Ecology and Evolution(2020)

上の地図が南極大陸を中心にしたジェンツーペンギンの生息地です。彼らは南半球のさまざまな緯度に生息していて、一部のコロニーはインド洋の島や南大西洋の島にも及んでいます。

地図の色付き三角が今回研究で調査されたペンギンたちのコロニーです。青がフォークランド諸島(FALK)、ピンクがサウスジョージア諸島(SGI)、緑がサウスシェトランド諸島及び南極半島(SSHWAP)、黄色がインド洋のケルゲレン諸島(KERG)です。

今回の研究チームは、これら生息地域の異なるジェンツーペンギンのDNAを調査し、彼らが1つの種ではなく4つの種に分類できるという遺伝的・形態学的差異を発見したのです。

遺伝子データに基づく主成分分析(左)。SNP(一塩基多型)に基づく分析(右)どちらも異なる4種にジェンツーペンギンを分類できる。
遺伝子データに基づく主成分分析(左)。SNP(一塩基多型)に基づく分析(右)どちらも異なる4種にジェンツーペンギンを分類できる。 / Credit:Joshua Tyler,Ecology and Evolution(2020)

今回の研究の筆頭著者、バース大学のジョシュ・タイラー氏は「素人目には彼らは非常によく似ていて見分けが付きませんが、彼らの骨格を測定すると、骨の長さやくちばしの大きさや形が統計的に異なっています」と物理的にも彼らに違いがあることを説明しています。

この研究からジェンツーペンギンは、共通の祖先を持ちながらも4つの異なる種に独立して進化していたことが示唆されたです。

研究チームは今回の調査結果から、既知の2つの亜種「P. p. ellsworthi」と「P. p. papua」を種レベルに昇格させる必要を述べており、またさらに2つの新種「P. poncetii 」と「P. taeniata」を作成することを提案しています。

次ページ種を再分類する意義

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