人の顔と芸術品では「美しさ」を感じる場所が違う
研究チームは、健康な被験者(18〜50歳、計982人)の脳分析をおこなった49件の先行研究をもとに、「美しさ」に関する刺激反応の関係性を調べました。
この手法は「活性化尤度(ゆうど)推定(Activation Likelihood Estimation : ALE)」と呼ばれ、複数の研究から報告された結果を統合する方法です。
対象となった研究の中には、人の顔や、絵画・彫刻・建築物などの芸術作品に焦点を当てた視覚テストが含まれています。
いずれのテストでも、fMRIを用いて被験者の脳画像を撮影し、視覚的な美しさを感じたときの反応が調べられました。
その結果、「人の顔」を見て美しいと感じたときには、以下の脳領域が活性化していました。
・腹内側前頭前野(英: ventromedial prefrontal cortex)
・前帯状皮質膝前部(英: pregenual anterior cingulate cortex)
・左腹側線条体(英: left ventral striatum)
対して、「芸術作品」を見たときには、内側前頭前皮質(英: anterior medial prefrontal cortex)で強い活性化が見られています。
こうした反応パターンの違いは何によるのでしょうか。