生命のもとは宇宙にありふれている
今回の研究の重要な点は、生命の構成要素と考えられる分子が、星と惑星が形成されるかなり前の段階ですでに形成されていると示したことです。
星形成領域の進化の初期で、すでにグリシンのようなアミノ酸が形成されているということは、これらアミノ酸が今まで考えていたよりもずっと当たり前に宇宙のあちこちで存在していることを示唆しています。
実験室でわずか1日で得られたデータを、何百万年もの歳月をかけて作られる星間環境に適用すれば、かなりの量のグリシンが時間とともに宇宙空間で形成されていると考えることができます。
グリシンは一度形成されれば、他の複雑な有機分子の前駆体として機能します。
同じメカニズが続くと考えれば、原理的にはグリシンを材料として、アラニンやセリンなど他のアミノ酸が形成されていき、最終的には濃縮された有機分子が彗星などに含まれて、地球のような若い惑星に届けられると推測できるのです。
複雑な有機分子が、暗い宇宙の星間雲の中で作り出され、あちこちの惑星へ運ばれているとしたら、宇宙に生命が溢れている可能性もかなり高くなるかもしれません。