敵の戦意を喪失させるため?
これまでの研究で、「死の笛」の用途にはいくつかの説があります。
最も有力なのは、笛の音で敵を恐怖に陥れ、戦意を喪失させるというものです。
アステカ族の戦士たちはおそらく、戦闘前に首から下げた死の笛をいっせいに吹くことで、敵軍に強いショックを与えていたと見られます。
確かに、先の動画にあるように、100もの断末魔の声が森の奥から迫ってくれば、強戦士も思わず逃げ出したくなるでしょう。
それから、生贄の儀式の際に使われたという説もあります。
死者の声を奏でることで、生贄に捧げられた魂を冥界へとスムーズに誘っていたと考えられます。
他にも、異なる笛のトーンを駆使することで、意識を高次の状態に移すという呪術的用途、心身の病の治療といった医療的用途などが挙げられます。
いずれにせよ、死者の声のような音が、人の精神に強い作用をおよぼすのは間違いないでしょう。
14世紀半ばにメキシコ高原に興り、1521年まで続いたアステカ王国は、豊かな神話体系や終末思想、生贄の儀など、魔術的な信仰に支えられていました。
「死の笛」は、そうしたアステカ社会の大きな一翼を担っていたのかもしれません。
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