青い環状星雲の真の姿
あまりに矛盾するデータが多いため、GALEXの研究チームはこれをなんとか理解するため、コロンビア大学の理論物理学者ブライアン・メッツガー氏をチームに迎え入れました。
「ブライアンは私たちが見ているものがなんなのか、最初から予測していました」今回の研究の筆頭著者、カリフォルニア工科大学の天体物理学者ホードリー氏はそのように語っています。
メッツガー氏は青い環状星雲が恒星の合体からわずか数千年の状態を目撃しているのだと説明しました。
通常、星の合併は爆発の破片が星を覆い隠してしまうため、観測者はそこで何が起こっているのか見ることができません。
そのためチームはこれが星の合併である場合、星を見るために破片の雲が十分薄くなった状態であると考えるしかありませんでした。
すると状況がデータと合わないことになってきます。
しかし、メッツガー氏の理論は、この場合の星の合併は星を見えなくするほど破片が分散しなかったのだ説明しました。
つまり、この天体はまだ天文学者が目撃したことのない、2つの星の合併直後の様子だったのです。
だから、データの示す意味が理解できなかったのです。
具体的にそれはどういう状態なのでしょうか?
メッツガー氏のモデルは、観測された環状星雲が実際はリングでも球体でもないと示しています。

上の動画がメッツガー氏の示した青い環状星雲の正体です。
この天体は確かに恒星の衝突によって生まれたものですが、非常に特殊な破片の広がり方をしました。
連星の大きな主星は寿命の終わりに近づき大きく膨んでいきます。
小さな伴星はそれに引かれて螺旋状に大きな星の方へ落ちていきましたが、途中で外層が重力によって引き裂かれチリの円盤を作り出しました。
その後、チリの円盤を持った伴星が主星に衝突したとき、その円盤は星の反対方向へと吹き飛ばされました。
吹き飛ばされた円盤は外側にいくにつれて大きく広がっていき、最終的に円錐型の破片の雲を作り出したのです。
それらは暗すぎて単独では地球から見えません。
しかし、地球から見て2つの円錐が重なった領域は強い遠紫外線の放射として観測され、青い環状星雲に見えたのです。

青い環状星雲は、恒星の合併によって生じた特殊な破片の広がりと、地球から観測する角度が生み出した偶然の姿だったのです。