菌畑を育てるハキリアリ
ハキリアリは菌畑を育てるために役割分担をしています。
からだの大きなアリは巣の外に出て葉っぱを集め、敵と戦い、小さなアリは巣内で菌畑のガーデニングをします。
持ち帰られた大量の葉は一カ所に集められ、アリタケと呼ばれる特殊な菌類を植え付けて栽培し、アリたちのエサとなるのです。


この菌類との不思議な共生関係が注目される一方、大群で暮らすアリにとっては病原菌に感染するリスクの高まりを意味します。
専門家たちは、ハキリアリがいかにして病気を防いでいるか疑問に思っていました。
その答えは、A. echinatiorが手に入れたボディアーマーに隠されているかもしれません。
アーマーの装着は昆虫界初!
研究チームは、A. echinatiorの体表面に見られる「白っぽい粒状皮膜 」を分析し、これが昆虫界で初となる「天然のボディアーマー」であるという結論に達しました。
研究主任のキャメロン・キュリー氏は「バイオミネラル(生体鉱物)のコーティングが発見されたのは、アリと菌類との共生関係を調べていくた最中でした」と話します。
電子顕微鏡などで詳しく分析した結果、バイオコーティングは薄い層状になっており、3〜5マイクロメートルほどの菱面体マグネシウムカルサイト結晶でびっしり覆われていました。

こうしたバイオコーティングは、ロブスターのような海洋甲殻類に見られるもので、昆虫では普通見られません。
しかし、キュリー氏は「昆虫は甲殻類から進化したので、似たようなボディアーマーを発達させてもおかしくはない」と指摘します。
抗菌性・戦闘力が格段にアップ
チームは、本種を飼育して、ボディアーマーがいつ発生し、どのような機能を持つかを調べました。
その結果、ボディアーマーは幼虫期には存在しないが、成熟するにつれて急速に発達し、完成したコーティングは外骨格を著しく硬化させることが判明しています。
これを実証するため、チームはボディアーマー有りと無しのA. echinatiorを用意し、同じハキリアリのAtta cephalote種と実験的に戦闘させました。
これはハキリアリの縄張り争いを再現したもので、両者の戦いは自然界でよく観察されます。
サイズはAtta cephalote種の方が大きく、圧倒的に有利です。
結果、ボディアーマー無しの個体は簡単に負けてしまいましたが、ボディアーマー有りだと生存率がはるかに高くなっていました。
Atta cephalote種の大きなアゴでもアーマーは噛みきれないのです。

さらに、昆虫によく感染する「メタリジウム菌」を用いた抗菌性テストでは、ボディアーマーのおかげで感染率が最小限に抑えられていました。
天然のボディアーマーがアリの戦闘力および抗菌性を格段にアップさせていたのです。
研究チームは「ボディアーマーの仕組みをより詳しく理解することで、物の抗菌コーティング技術に応用できるかもしれない」と話しています。





















