太陽から100パーセク内にある4万の星の今後40万年間の移動の軌跡を表示した宇宙地図。
太陽から100パーセク内にある4万の星の今後40万年間の移動の軌跡を表示した宇宙地図。 / Credit: ESA/Gaia/DPAC, CC BY-SA 3.0 IGO
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160万年先まで星の動きを予測!? 「天の川銀河の3次元マップ」を作成 (3/3)

2020.12.09 Wednesday

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銀河の中の太陽系の運動と加速度

動画の最後で星の動きが偏っているように見えるのは、実は太陽系の動きが関係しています。

動画は、太陽系内から見た見かけ上の銀河系の星たちの動きです。

太陽系は銀河系の中を移動しているので、その見え方には太陽系の運動や加速度が影響してきます。

星の動きをもう少しわかりやすく画像にしてみましょう。

星の平均的な動きを描き出した画像。矢印の太さは固有運動の大きさを示す。
星の平均的な動きを描き出した画像。矢印の太さは固有運動の大きさを示す。 / Credit: ESA/Gaia/DPAC, CC BY-SA 3.0 IGO.

これは動画内に見える星の平均的な動きを表したものです。

こうしてみると星は左上の方から右下の方向へ移動していくのがわかります。

この星たちの運動によく似たものの見え方に覚えはないでしょうか?

雨の見え方。aは止まった状態、bは走りながら見たとき、cは走っている人を外から観測した時を示す。今回の場合該当するのはbの状態。
雨の見え方。aは止まった状態、bは走りながら見たとき、cは走っている人を外から観測した時を示す。今回の場合該当するのはbの状態。 / Credit:ESA/Gaia/DPAC – CC BY-SA 3.0 IGO

雨の中を走っているときのことを思い浮かべてみましょう。

そのとき雨粒は進行方向から後方に向かって移動しているように見えると思います。上の画像でbのような状態です。

徒歩で想像しづらければ、車で高速を移動しているときを想像してみるとよりわかりやすいかもしれません。

もしくは、もっと速いスター・ウォーズなどのSF映画でワープドライブを起動したときの景を想像してみてもいいでしょう。

ワープドライブを起動すると、星たちは正面から放射状に背後へ流れていくように見える。
ワープドライブを起動すると、星たちは正面から放射状に背後へ流れていくように見える。 / Credit:canva

このとき、進行方向の星たちは放射状に自分の背後へ向かって移動していき、進行方向は丸い穴のようになって見えます

そう、この見かけ上の星の動きが、固有運動を示す動画の中にも現れているのです。

つまりこの動画は太陽系が画面の左上の星の空白に向かって移動していて、その運動の後方が画面の左側に当たるということを示しているのです。

固有運動は太陽系の中から観測した、星の見かけ上の運動だからこのように見えるのです。

星は重力的な影響で軌道を変えるのでは実際はそんなにまっすぐ綺麗に運動しないかもしれません。しかし、この動画で描かれた160万年のスケール内ではその影響はほとんど現れません。

太陽系が銀河系の中を移動しているということが、こうした観測からも分かるのです。

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