曽呂利新左衛門の逸話
秀吉に仕えていたといわれる曽呂利新左衛門。非常に頭が良いと評判の人物でした。
この曽呂利新左衛門に関する有名な逸話は「指数関数的増加」のとても良い例になっています。
では、その逸話を見ていきましょう。
ある日、秀吉が「好きな褒美をやろう」と新左衛門に言いました。そこで、新左衛門はこんな褒美を望みます。
「米粒を頂きたいです。1日目は1粒、2日目は倍の2粒、3日目はその倍の4粒といった具合で、次々に倍をしていって、100日目まで米粒を頂きたいです」
秀吉は「なんだ、そんな小さな望みで良いのか」と思って、新左衛門の要求を快諾しました。
こうして、秀吉は新左衛門に毎日米粒を届けることになりました。
1日目は1粒、2日目は2粒、3日目は4粒。15日目に、やっと16384粒となり、茶わん4杯分くらいの米粒になりました
秀吉の家来たちは「新左衛門は、もっとマシな褒美をもらえばよかったのに」と言いながら笑いました。
しかし、20日目には524288粒になり、約10kg分の米粒になりました。23日目には、なんと4194304粒になり、米俵2俵ほどの量に。
驚いた秀吉は、100日目に何粒になるか家来たちに計算させました。すると…
633825300114114700748351602688粒!
兆や京は軽々越えて、「63穣」という、非常に大きな数です。
秀吉は、新左衛門の賢さにしてやられたのでした。
…という逸話です。
新左衛門の要求のポイントは「2を掛け続けること」です。この「掛け算で増えていく」というのが、「指数関数的増加」であり、恐ろしい側面を持っています。
比較のために、
A:1から始めて2を掛けていった場合
B:0から始めて2を足していった場合
として、30日目までの表を作ってみると…
となります。
最初の方はAとBに、大きな差はありません。しかし先に進むと、その差は歴然。Bは一定の速度で増えていくのに対して、Aの増加の速度はどんどん加速していくことがわかります。
30日目まででも536870912粒。これは米俵250俵ほどになります。
秀吉は、最初の「1粒,2粒,4粒」の小ささに、まんまと騙されてしまったようですね…。