新たに発見されたナノフレアの証拠
IRISの画像から研究者たちが発見したのは、小さな光のループです。それは周囲より数百万度も高温になっていました。
さらにこの画像からは、シリコンイオンがIRISへ向かって秒速100kmで移動していることを示す青方偏位と、離れていくものは赤方偏移を起こしていることが発見されました。
これはシリコンイオンより軽い酸素イオンからは検出されていません。
研究者たちの見つけた、このデータは何を意味しているのでしょうか?
見えないナノフレアという現象が、コロナを加熱する原因だとすれば、それは発生した巨大なエネルギーを効率的にコロナへと運ばなければなりません。
発見されたデータは、その方法を説明しているのだと研究者はいいます。
データでは酸素のような軽い元素より、シリコンのような重い元素の方がはるかに高温でエネルギーが高いように見えました。
酸素原子と、シリコン原子で、異なる影響を与える熱を研究者が探したところ、一致したものが磁気リコネクション現象です。
重いイオンによって運ばれる波は、波を破壊する乱流の影響を受けやすく、それがイオンを散乱させて、予想を超える範囲に局所的な熱を広げていきます。
実際そのようなことが起こっているのか、研究者たちは再度データの解析を行いましたが、たしかにループが明るくなるのを見た後、コロナは突然数百万度まで加熱されていました。
研究チームは、ここで確かにナノフレアによる局所的な加熱が、太陽コロナ全体の高い温度へとつながっていく過程を発見したのです。
しかし、天文学者たちは、太陽コロナを加熱する目に見えないメカニズムは複数存在しているだろうと考えています。
今回発見された過程は、太陽コロナの異常な高温を説明するパズルの1ピースに過ぎません。まだまだ太陽には多くの謎が潜んでいます。