もっとも初期の宇宙で発見されたクエーサー「J0313–1806」の想像図。
もっとも初期の宇宙で発見されたクエーサー「J0313–1806」の想像図。 / Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva
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「最古の超大質量ブラックホール」を観測! ビッグバンからわずか6億7千万年後に生まれていた (2/2)

2021.01.14 Thursday

前ページあまりに早く形成される超大質量ブラックホール

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星の崩壊を必要としないブラックホールの形成

では、どうやって超大質量ブラックホールは誕生しているのでしょう?

ここで考えられているのが、第3のメカニズム、大量の原始的な冷たい水素ガスが直接崩壊して超大質量ブラックホールの種となるブラックホールを生み出しているというものです。

クエーサーは宇宙に大量の星を生み出した動力源となるものです。

「J0313–1806」の明るさは、そのブラックホールが毎年太陽質量の25倍に相当するものを飲み込み、そこで生み出されるエネルギーによって、速の20%に相当する勢いで、強力なイオン化ガスの放出を行っていると見られています。

これにより、このクエーサーをホストする銀河では、私たちの天の川銀河の200倍近い速度で新しい星を生み出されています。

これをスターバースト銀河と呼びますが、この星形成率は同種の銀河の中でも特に激しい段階のもので、この銀河から星形成物質がなくなるのは時間の問題と考えられています。

凄まじい勢いのガスの流出は、最終的には銀河の星形成を止める原因にもなるのです。

活発に星を生む2つのスターバースト銀河。M82とM81。
活発に星を生む2つのスターバースト銀河。M82とM81。 / Credit:Wikipedia

現在の宇宙、つまり地球に比較的近い宇宙には、クエーサーと呼ばれる天体は発見されていません。

これらのプロセスは、宇宙に大量の星が存在する理由と説明するとともに、現在見られる銀河の多くが星形成を停止させている理由も説明しています。

「J0313–1806」の猛烈な星形成率を見るに、このクエーサーはまもなく消光することになるだろうと考えられています。

クエーサーの消光が、宇宙の歴史の中で、どれくらい早くから始まっていたかはまだわかっていません。

しかし、今回の発見はそのクエーサーの消光が、非常に早い段階で起こっていた可能性を示す、最初の証拠になるでしょう。

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