卵の黄身を回転させたら「予想外の結果」が得られた
研究者たちは組み立てられた卵入りカプセルに対して、3種類の物理的な働きかけを行いました。
1つ目は直線的な衝撃、2つ目は回転運動(加速)、3つ目は回転運動(減速)です。
上の図では、卵の上から直線的な衝撃を与えたときの様子が示されています。
この実験では、卵入りのカプセルに対して1.77kgのハンマーを1m上から落下させることで、衝撃を与えました。
衝突により、カプセルには瞬間的に9.8Gの加速度が発生しています。
しかし意外なことに、卵の黄身にはほとんど変形がみられませんでした。
次に研究者たちは上の図のように、卵入りのカプセルに対して回転運動を与えました。
回転の速度は最大で1秒間に約64回転にも及びました。
結果、卵の黄身もカプセルの回転に影響されて回り始め、楕円形の形に変形しました。
最後に、上の図のように、研究者たちは回転させたカプセルを減速させました。
減速によってカプセルは1秒以内に動きを停止します。
すると興味深い現象がみられました。
減速するカプセルの内部で卵の黄身が徐々に変形し、土星型を経て、押し潰されたような形状に変化したのです。
これは、外部の液体の流れがカプセルにつられて減速した一方で、黄身を含む中央部の遠心力がまだ高いことが原因になります。
内部の遠心力が優勢である場合、外部の反発を打ち破って、内部から外部へ向けた膨張が起こります。
もしこれが脳であった場合、脳は自身の遠心力によって内側から崩壊することになるでしょう。