脂の多い魚が喘息の発症リスクを下げているように見える
調査された人数は、コホート全体で4.543人の子どもがいました。この調査の結果、喘息とオメガ3脂肪酸摂取の関連は見つかりませんでした。
しかし、ここでチームは子どもの持つ特定の遺伝子変異に着目したのです。
それは血中の低レベルのオメガ3脂肪酸に関連する、脂肪酸デサチュラーゼ(FADS)遺伝子の変異体です。
調査の結果、子どもたちの半数がこの遺伝子変異体を持っていることがわかりました。
そして、この子どもたちに限定して、再度分析を行ったところ、オメガ3脂肪酸の食事摂取量が多いほど、子どもの喘息リスクが低下していることが確認されたのです。
これは、魚を食べる家庭の子供とそうでない子どもとの間で、喘息の発症に51%もの差が認められました。
この結果は、さらにスウェーデンで行われた出生コホート研究でも同様に発見されました。
もちろん、この研究は観察的な関連性を発見しただけのもので、そこに明確なメカニズムを特定したわけではありません。
また、その関連性も特定の遺伝子変異を持つ子どもに限られたもので、それを考慮しない場合には、特に関連性を見つけることはできません。
研究者はこの結果が、魚を多く食べれば喘息を予防できるわけではないと警告を述べています。
しかし、オメガ3脂肪酸の血中濃度が低い子どもについては、オメガ3脂肪酸の摂取量が有益な効果を及ぼしているようです。
オメガ3脂肪酸はEPAやDHAなど、一般的にも体にいいことが知られている栄養素であり、週に1回以上魚を食べる人の心臓病や脳卒中の発症リスクが減ることが、研究から確認されています。
またオメガ3脂肪酸はうつ病などの気分障害を減らすという報告もあります。
オメガ3脂肪酸は、サケやマグロ、イワシなどに多く含まれ、カニやムール貝、カキなどの貝類にも含まれています。
これら魚介類を積極的に取ることのメリットは、現在でも数多く報告されているため、子どもの頃から積極的に食べるように心がけることは、重要なことかもしれません。