・慶応大学は、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの脳の比較調査を行った
・ネアンデルタール人はホモ・サピエンスよりも脳全体は大きいが小脳が小さいことが判明
・小脳の違いによりネアンデルタール人は絶滅した可能性があると推測された
約4万年前に絶滅したと言われるネアンデルタール人。彼らがどうして絶滅することになったのか、その手がかりとなる研究調査が発表されました。
https://www.nature.com/articles/s41598-018-24331-0
慶応大学の研究では、ネアンデルタール人の脳を再現したものと現生人類ホモ・サピエンスの脳を比較調査。その結果、ネアンデルタール人の脳は記憶や思考、コミュニケーションを行う部分が欠けていたことが発見されました。
調査では、ネアンデルタール人と初期のホモ・サピエンスの頭蓋骨の化石を用いて仮想的な型を形成しました。また、MRIを用いて1185人の被験者の脳のデータを集め、現代人の平均的な脳をモデル化。そのモデルをネアンデルタール人の頭蓋骨に合うように変形させて、脳の形状やネアンデルタール人とホモ・サピエンスの比較を行いました。
その結果、ネアンデルタール人はホモ・サピエンスよりも脳が大きかったが、平衡感覚や運動学習に関わる小脳が小さいことが判明しました。
さらに現代人のデータを用いて調査を行ったところ、小脳の大きさと、認知の柔軟性や注意力、言語処理にワーキングメモリの働きに正の相関関係がありました。これは、ネアンデルタール人の認知能力がホモ・サピエンスよりも劣っていることを示唆します。
研究者の荻原直道氏は、「小脳に関する差異が認知や社会能力に対して大きな違いを生み出した結果、ホモ・サピエンスがネアンデルタール人に取って代わったのではないか」と述べています。