人と一緒に暮らす柔らかいロボット
現在工場などでは多くのロボットが活躍しています。
そして、これからの時代は医療や介護の現場で、労働をカバーするロボットの需要が高まっていくだろうと考えられています。
今回のコロナウイルスの流行においても、医療従事者の不足や、彼らにかかるリスクは問題となっています。
ロボットがPCR検査や患者の介護を行うことができれば、世の中の混乱や、感染のリスクを大きく下げることに貢献できるでしょう。
こうした工場から日常へ、ロボットのニーズが移った際、ロボットにはこれまでとは異なる機能が求められることになります。
ここで登場するのが、今回研究を発表した、北陸先端科学技術大学院大学のホ アン ヴァン(HO Anh-Van)准教授が進めるソフトロボティクス(柔らかいロボットを扱う研究)です。
産業用の機械では、速さやパワーが求められました。しかし、人と接するロボットに求められる要件は異なります。
「人間と生活をともにする場合、安全面から柔らかい材料でできたロボットであることが理想です。さらに人間の意図を汲んだ動作や出力をするための知能が必要になります」
ホ准教授は、そのようにソフトロボティクスの一端について説明しています。
人が親しみを持ち、一緒にいて違和感を感じないようなロボットを開発しようとする場合、柔らかさは必要不可欠な要素になると、ホ准教授は語ります。
そして、彼が目指すのは産業機械のように特定の機能に限定した腕だけ、上半身だけというロボットではなく、あくまでヒト型ロボットだといいます。
ホ准教授の目標としては、ディズニー映画に登場するベイマックスが理想の形だそうです。
これを実現するためには、多くの困難な課題があることは明白ですが、現在ホ准教授の研究チームが取り組んでいるのは、ロボットが獲得するべき「知能」に関する問題です。