古代人の微生物叢
「今回の古代DNAの分析により、現代のホモサピエンスと共有されている微生物の核を分離することができました。これは、約70万年前に発生したサピエンスとネアンデルタール人の分離前から、私たちの種の腸内に生息していた古代の微生物だと言うことができます」
今回の研究の筆頭著者である、ボローニャ大学のシルビア・トゥローニ氏は、この発見についてそのように説明しています。
ネアンデルタール人の腸内細菌叢には、現代の私たちの腸内でも健康の基本とされているよく知られた細菌が含まれていました。
ここで見つかった細菌はBlautia、Dorea、Roseburia、Ruminococcus、Faecalibacteriumなどで、これらは食物繊維から短鎖脂肪酸を生成し、私たちの代謝と免疫のバランスを調節する役割などを持っています。
またビフィズス菌もいました。これは特に幼児期に免疫防御を調整する上で重要な役割を持っています。
これら人類とともに古くから共生している微生物が特定されたことで、現代の腸内細菌叢の枯渇に関連する研究の裏付けを取ることができるといいます。
古代人と現代人の生活スタイルや食事の違いを分析していくことで、どうすれば私たちにとって重要な細菌叢を守っていけるのか、持続可能な生活スタイルを見つけ出し、健康をよりよく保つためのプランを考えていくことができるのです。
具体的な腸内細菌叢を保護する方法については、今後の研究の話になるようですが、彼らが何十万年も前の祖先の時代から、私たちのお腹の中に生息して健康を支えてくれていたと聞くと、大切にしてあげたい気持ちになりますね。