植物油由来の新プラスチックのリサイクル回収率は96%
研究チームが新しく作成した2種類のプラスチック化合物(ポリエステル構造、ポリカーボネート構造)は、高効率でケミカルリサイクルさせるために化学的な結合が壊れやすくなっています。
分子構造に「ブレークポイント」を組み込むことで分解に必要なエネルギーを小さくしたのです。
結果として、新プラスチックはエタノールやメタノールを触媒にして120℃、触媒を使用せずに150℃でリサイクル可能。
またリサイクル後に、初期材料の96%が回収されたとのこと。これは従来のケミカルリサイクルの10倍近い回収効率だと言えます。
新プラスチックが普及するなら、プラスチックのほとんどはリサイクルで循環することになり、ゴミやプラスチック生産を極限まで削減できるでしょう。
これはプラスチックの埋め立てなどのさまざまな問題の解決にも繋がります。
また、新しい素材は植物油から作られるため環境に優しく、従来の化石燃料プラスチックの代替品として期待できます。
ただしメッキング氏によると、新素材の1つの欠点はコストにあるとのこと。
例えば、エチレンは化学産業の中で最も安価なビルディングブロック(化合物のパーツ)です。
そのため彼は「現在の市場および法的枠組みで、従来のポリエチレンと競争することは非常に難しい」と述べています。
世界的にコストではなくリサイクルを優先するようなメカニズムがないと、新素材が普及するのは難しいのかもしれません。
今後、研究チームは新しい材料をさらに改善し、最終的には生産規模の拡大を目指しています。