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大きな生き物のがん発症リスクが低い「ピートのパラドックス」
がんは細胞のコピーエラーから起こっています。
このため、細胞分裂の機会が増えれば、その分がんになるリスクも増加することになります。
実際、同じ種の中で比較した場合、身長の高さ(体の大きさ)とがんの発生率は関連性があることが示されています。
そうなるとマウスと人間、あるいは人間とゾウやクジラを比較した場合、細胞数の多い体の大きな生き物ほどがんのリスクが高くなるはずです。
科学者の中には、「クジラは生まれたときからがんにかかってしまい、存在することさえできないはずだ」とジョークを飛ばす人もいるくらいです。
ところが実際のところ、クジラはほとんどがんにかかりません。それ以外でもネズミに比べて人間ががんになりやすいということもなく、ゾウにおいても同様です。
種を超えた場合、体の大きさとがんの発症リスクの関連性は失われてしまうのです。
この問題は1977年に統計学者であり疫学者であるリチャード・ピートによって指摘され、以来「ピートのパラドックス」と呼ばれています。
ではこの矛盾を生み出す原因はなんなのでしょうか?