まるで生きているかのような植物の化石
この堆積物を顕微鏡で見た研究者たちは驚きました。
そこには、まるで昨日まで生きていたかのように見える植物の葉や枝などの破片が含まれていたのです。
これはまぎれもない化石ですが、たしかに拾ってきたばかりの小枝のように見えます。
通常氷床の経路にあるものは、粉砕されてしまって残りません。しかし、この試料は植物の繊維構造を完全に保存していました。
これはグリーンランドに隠されたタイムカプセルのようなものだったのです。
石英に形成される宇宙線があたった痕跡を分析した結果、これらは過去100万年以内のものだということがわかりました。
つまり、ほんの数十万年前までグリーンランドには厚い氷床はなく、草木の茂る大地だったのです。
これは過去温暖な時代だった間氷期でも、グリーンランドは凍りついていたという考え方を覆すものです。
グリーンランドの氷床は、地球の海面を約6m上昇させるだけの水を氷として保存していると言われています。
これが、温暖な時期には割と簡単に溶けてなくなってしまうというのは、温暖な時代への気候変動に直面している我々にとっては恐ろしい事実です。
研究者はこれは今後50年間で、グリーンランドの氷が失われる可能性のある緊急の問題だと語っています。
かつて頓挫軍事作戦の偽装で採取された研究資料は、驚くべき現代への警鐘となったようです。